シチズン コスモトロン スペシャル
開始3000円で入札したら入札1で落札してしまいました。
顔だけみると本当に小汚いおっさん時計(ガラスの傷は磨けばなんとか)ですが、中身は結構すごいのです。
ムーブメントを見ると機械式時計特有のばね振り子「テンプ」と、でっかい電池があります。頭を掻きむしりそうなレイアウトですがこれが電磁テンプです。ぜんまい時計の動力を電池におきかえたもの。毎日ぜんまいを巻く手間からは開放されましたが、精度は(ぜんまいのほどけ具合に起因する誤差はなくなりました)わずかな向上のみ。
この時計は電磁テンプ方式でも末期に属し、とうにクォーツは実用化していましたし、シチズンは音叉時計のライセンスも持っていました。あえてこれを作ったのは低価格な電池式時計がほしいという需要によるものですね。
せつない。
でもそれだけではないのですよ。
この時計は10振動を採用しています。クォーツなら毎秒1回、普通の機械式時計は毎秒5~8回程度針を動かしていますが、これは毎秒10回刻みます。普通の時計ならチッチッチッ……となる音が、チキチキチキチキと実にせわしない音になります。
さらに微動緩急装置(微妙な進み遅れを調整する機構)付き。
精度が上がります。
でも精度が欲しかったら音叉やクォーツがあったわけで。
スキマを狙った少しせつない時計ではあるのです。
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コメント
こんな時計があるなんて知りませんでした!

機械式しか興味なかったというのもあるんですが…
いやはや時計は奥が深いですね~
投稿: 北陸の元時計マニア | 2011年7月10日 (日) 10時43分
セイコーがアストロンを出しても、ブローバやシチズン等はクォーツは高価で(ご存じの通りアストロンはカローラより高かったですから)、低価格で止まらない時計である電磁テンプや音叉式で普及価格帯では競争できると考えていたようですね。蓋を開けてみたらクォーツの激流のような低価格化で音叉の工場ごと無駄になったようですが。
音叉式の運針は美しく、アキュクォーツなら低価格かつ、酸化銀電池が使える(アキュトロンは水銀電池)ので、よろしければおひとついかがでしょう。
http://nakatajun.cocolog-nifty.com/wahoo/2010/02/index.html
投稿: なかた | 2011年7月10日 (日) 17時56分