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腕時計内容(1)

Movement3_1

Vulcainだが「クリケット」を生産したバルカン社の綴りがこうだったらしい。バルカン社のものなのだろうか。案外高級品かもしれん。

当面の間この時計のなにが魅力的かをだらだらと語ることにする。それくらい気に入ったということでもある。ありがたいことに世間ではこのジャンルの時計はまるで人気がなく、高くても一万程度で手に入る。ちなみにこの時計は百年はたっていないと思う。主流が懐中時計から腕時計に代わる途中の典型的な様式をもっている。その上で、かなりの高級仕様となっているのだ。

機械式時計の原理は簡単だ。
主ぜんまい(写真右上の一番大きな歯車の下にケースがある)に力を蓄積する。ばね振り子(写真下の複雑な部分にある輪とうずまき状のばね)がその力を受け時を刻む。五千円のファイブから百五十万円のパテック・フィリップまで、理屈はすべて同じだ。しかしながら当時の工業技術では充分な精度が得られない。またまわりには温度など、バネ振り子の周期を乱す様々な擾乱要因がある。これをどうやって解決するか、その工夫が古い時計の大きな魅力だ。

Movement2_1 振り子の等時性はみなさんご存じと思う。振り子はどんな振幅でも同じ周期を保つというものだ。実はあれは嘘らしい。実際には振幅で微妙に変わってしまう。ばね振り子でも同じことがいえる。つまり時計のぜんまいフルの状態と止まりかけの状態では時計の進みは変わってしまう。これを押さえるために、ばね振り子のばね(ヒゲゼンマイという)の終端をはね上げ、内側に巻き込む技術がある。これを開発者の名前にちなんでブレゲヒゲという。これで精度は向上するが、ヒゲゼンマイの加工は大幅に難しくなる。写真をよく見ると、うずまき状のバネから一本だけ立ち上がっているのが見えると思う。
ステキだ。おそらく系年変化で当初の精度は望むべくもないだろうが、その努力と心意気に胸を打たれる。繰り返すがこの時計、全体が一円玉ほどの大きさしかないのだ。
といったところで次回に続く。

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