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ロードマーベル36000

まずは接客態度が極めて悪い頑固おやじの時計屋に持っていく。おやじ一度開けようとして裏蓋が固く締まっているのに気づき、傷つけると面倒くさいと判断したらしく蓋をあけなくてもわかるという方向に転換。バレバレやぞおっさん。
しかし時計の動作音から故障の有無・進み遅れを判断するタイムグラファという機械を使って確認はしてくれた。綺麗に刻まれており駆動部に問題はない、というかよいバランスを保っていた。さすがは準高級機ではある。ただし時計ちょっと進んでいたが。
ちなみにこのタイムグラファ、時計が立てるかすかなカチコチ音と基準信号を比較して一日数十秒といった進み遅れをすぐに知ることができるナイスな仕掛け(ほかにもステキな効能がいっぱい)で、一日待っては緩急針(時計の微妙な速度を調整する機構)ちょっと進め、一日待ってまたわずかに時計を遅らせ、とやっていると欲しくなってしまうがさすがに無茶だ(旧式の中古なら6万くらいからあるが)。
ちなみにこの基準信号の出しかたはいろいろあるが、多数の製品は「水晶発振器」を積んでいる。なんのことはないクオーツ時計である。
ちょっとさみしい気はする。
結局知っているもう一店、もう少しガサツだが融通の効く芸風のところで裏蓋を開ける(うちは台を持ってないのであまり固いのはお手上げなのだ)。内部は案外綺麗だった。いや、むしろ中上級機らしい仕上げに感動した。なにしろこれはスケルトンなどの覗き窓はないし、裏は強固な防水を売りにしたスクリューバックだ。ほとんどのオーナーは中を見ることがなかったはずで、見えないおしゃれには感動する。

さて持ってかえってからガラス面の内側が気になってきた。一度緩めたので(緩急針調整のためあまり固く締め直さなかったので)うちの開閉器でも開けることができる(実際には調整中はニードルノーズプライヤーで開ける)。
竜頭を引きながらオシドリを押すと素直に抜けた。パッキンなどの異常もない。この状態でひっくり返すとムーブ(臓物)がぽろっと落ちてくる。これでドンガラと竜頭、ムーブと裏蓋に分解できたわけだ。内部には錆もない。ただ竜頭の穴の内側がちょっと汚れている。
まずはムーブ以外を超音波洗浄器(メガネ用)にぶちこむ。もうちょっとパワーがほしいが高い。イソプロピルアルコールや中性洗剤を使うことも考えたがパッキンを交換しないのでやめておく。
洗浄乾燥中にムーブの文字盤のくすみを取る。文字盤の外周の塗装が少し劣化して黒ずんでいた。イヤーな予感がする。アルコールを含めた綿棒でできるだけ取り除く。
取り出したケースに、乾いた糊のようなものが少量落ちていた。予感的中。風防を固定し防水する接着剤が劣化しているのだ。まだいきなり落ちるようなレベルではないので見なかったことにしたが、防水能力はほとんど失われているだろう。いつかはシーリングをやりなおすか風防交換かを考え場ならぬ。
十分乾燥したらムーブを戻し、オシドリを押しながら竜頭を差し込む。と無造作に書いたが失敗するとえらいことになる(ムーブを半分以上バラさねばならぬ)。

seiko-citizen で、開けてみたセイコー・ロードマーベル36000(まあ、セルシオが出ちゃったあとのクラウンくらいの位置づけの準高級機だ)とリズムデイト(シチズン系の激安機だが、ムーブの設計は地獄の精度を叩き出すホーマー鉄道時計に近い)を並べてみる。
同じじゃねえか、と思うかもしれないが気のせいだ。
重要な違いは心臓部のテンプ(左側、ピンク色のルビーを中心にした金色の円)である。テンプとは柱時計の振り子に相当する心臓部だ。ロードマーベル36000はこれを通常の時計の倍の速度で動かし精度を高めている。しかしこれは大変な負荷がかかる。このためにテンプが小さくなっているのだ。
さらにこの駆動のためゼンマイや潤滑油に至るまで特別製だ。潤滑油に至っては二硫化モリブデン(エンジンオイルの極圧添加剤にするアレだ)とか使ったらしい。うへえ。
まああとは軸受けのルビーの数(中心部の3つがわかりやすい)とか、能書きに金押ししてあってキレーとか、緩急針(テンプの上に付いているタブ)に微調整用の歯車がついてるとか、そのへんが見て取れる。
ちなみに先程言及したオシドリは竜頭の内側方向にある小さな丸いボタン。

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